クランクのペダル取付ネジのトラブル
2022.03.27
<クランクのペダル取付ネジのトラブル>
スポーツバイクのクランクは、ほとんどの場合アルミ製で、そこに取り付けるペダルのアクスル(軸)はスチールなどの硬い金属で出来ています。
ペダルの締め付けが十分でない状態でペダルを漕いでいると、クランクのネジ山が硬いペダルのネジ山に負け、ナメてしまうことがあります。
クランクのネジ山の破損程度が重度でなければ、ヘリサート加工という方法でネジ山を修復することが可能です。
画像のクランクは、ペダル取付け部のネジ山が半分ほどダメージを受け、ペダルが取り付けられない状態になっていました。
この程度であれば修復が可能ということで、ヘリサート加工を施すことになりました。
作業の手順ですが、先ずは通常のペダルタップを使い破損したネジ山をある程度整えます。
次に、破損してしまったネジ山にパイロットタップという工具で、標準のネジ山より一回り大きいネジ山を作ります。
パイロットタップを垂直に入れるため、今回はクランクの裏側からアクセスしました。
上はパイロットタップで新たに作ったネジ山の画像です。
新たに作ったネジ山に「ネジ山の素」となるヘリサートコイルを専用工具で挿入します。
挿入されたヘリサートコイルの内側がペダルを取り付けるための新たなネジ山となります。
新しいネジ山にペダルがスムーズに入るかどうかを確認し、問題がなければ修理は完了です。
破損の状態やクランクの素材によって、この作業が行えない場合もありますが、ほとんどの場合、この修理を行うことが可能です。
以上のヘリサート加工の基本工賃は税込¥3,300より〜、 ヘリサートコイルは税込¥880となります。
※)さて、こんな状況にならないよう、以下の点に気を付けてください。
ペダルには左右があり、ギアが付いているクランク(右側)のペダル取付ネジは順ネジ、そして反対のクランク(左側)は逆ネジになっています。
クランクにペダルを取り付ける際はネジ部にグリスを付け、慎重にネジ山を合わせ、決して無理にねじ込まないように注意して下さい。
走行中にペダルが脱落!という最悪の状況を招く前に、走行前の緩みチェックをお忘れなく。