なんでもキッチリ嵌まればオーケー!ばかりではない。
2022.05.13
バイクの組み上げやメンテナンスの際、しばしば遭遇する問題がパーツの嵌め合い。
例え高精度のパーツであっても、フレームや周囲のパーツ精度に問題があれば、しっくり嵌まりませんし、また、その逆の場合も多々あります。
なんでもキッチリ嵌まればオーケーというわけでなく、可動部分をスムースに作動させるため、パーツを無理なく固定するためには、ある程度の曖昧な部分が必要です。
例えば、フルサスフレームで乗車中は気がつきませんが、サドルを持ってフレームを持ち上げた際に、何となくガタを感じるという場合。
原因を追ってみると、その原因はリアショックのリデューサーの内径と、そのリアショックを固定するボルトの外径の差によって生じたガタだったりします。
長期に渡っての使用で双方が消耗している場合は要交換となりますが、新しいバイクの場合はスムースに作動させるため、もしくは不要な消耗を防ぐための微細なすき間で、この差が公差の範囲であれば特に問題はありません。
これを無理に抑え込もうとすると、サスペンション自体の作動に問題を生じさせる可能性もあります。
別の例として、高性能ハブで組んだホイールをフレームに取り付けようとしたら、スルーアクスルがスムースに通らないという症状。
この原因は、フレームのアクスルを受ける部分に、マスキングから漏れたと思われる塗料がうっすらと付着していたというもの。
このうっすら付着した塗料がフレームとハブのスルーホールの芯を微妙にずらしていたのですが、フレームとハブの精度がお互いに高過ぎたために起きたという珍しい症状、これについては問題箇所を極少量サンディング&グリスアッして問題は無事解決しました。
精度の高いトルクレンチとデジタルノギスを駆使しつつ、目指すところは「いいあんばい」。
MTBのメンテナンスは実に奥深い。